■■■ HP管理人的 XBOX360 コラム ■■■

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2006/04/08のコラム

ひっそり?発表の「カルドセプト サーガ」を
みて、ちょっと昔に思いを馳せて見る

先日行われた「Xbox 360 メディアブリーフィング」にて、XBOX360の「戦術」が矢継ぎ早に発表され、この計画どおりに事が運べば、かなり楽しげなソフトが充実するなぁ、と各種ニュース記事を読みながら感慨にふけっていると、取り扱いはそんなに大きくないもの、その中に「カルドセプト サーガ」の文字を見つけました。

これって、ひょっとして、あの「カルドセプト」のXBOX360向け新作ですか!?
早速、カルドセプトの公式ページを覗いてみると・・・・

四年間の沈黙を破り待望の完全新作
カルドセプト サーガ
X−box360に登場!

の文字がデカデカ・・・嘘です。普通の文字で、でもハッキリとトップページにありました。
正直なところ、とても懐かしく、またとても嬉しい思いを強く受けました。
そもそも、HP管理人とカルドセプトとの出会いは、2001年の夏。ドリームキャストの通信機能を利用した対戦対応が行われた「カルドセプトII」としてリメイクされての登場でした。その当時はこの通信機能を利用したネット対戦で盛り上がったものです。

今回のコラムは、そんな時代のコンシューマ機の背景などをちょっと振り返ってみようと思います。

カルドセプトIIが発売された2001年の夏という時期は、SONY、SEGA、任天堂というゲーム機の3大勢力が覇権を争っていた時代が終わりを告げた時期でもありました。既にPlayStation2で他陣営を一歩リードをしていたSONYが、春頃に満を持してSCPH-30000を投入し、キラーソフトの不在が大きく響き売上が伸びないドリームキャストの息の根を完全に止めました。その結果SEGAがゲーム機販売から撤退。もう一つの勇・任天堂は新型機であるゲームキューブの発売を目前に控え、さらにはSEGAに入れ替わる形でMicroSoftがゲーム界の覇権を取る為に、虎視眈々とXBOXの発売準備をすすめていた、そんな時代だったとおもいます。

ゲーム機としての販売では、名実ともにPlayStaion2の一人勝ちの状況ではありましたが、実のところハードウエア的にみると、すべての面においてPlayStation2が勝っている、という状況ではありませんでした。
少し話は戻って、1998年の年末。いつまでたって任天堂に勝つことが出来ないどころか、新進気鋭のSONYのPlayStationにも押されっぱなしのSEGAが起死回生のハードウエアとして販売をおこなったドリームキャストは、先見の明である通信機能が標準で内蔵されていました。ちなみに、通信機能といってもいわゆるLANではなくアナログモデムでした。
別に予算をケチったとか、開発者のネジが飛んでいた、という訳ではなく、これは時代背景が大きな理由として存在します。当時のインターネット接続といえば、アナログモデムやISDNが全盛で、ADSLを始めとするブロードバンド回線はまだ先の話、という時代でした。その為、ドリームキャストでは、通信インターフェースとして、当然のようにアナログモデムが採用されたのですね(その後来たブロードバンド環境に対応すべく、ドリームキャストでも正式なオプションとしてLANアダプタが発売されました)。しかしながら、結局はPlayStationの後継機にあたるPlayStation2に止めを刺される形でドリームキャストは消えてなくなる運命を余儀なくされました。
それでも、ドリームキャストは、商業的にある程度の成功を収めたいう点において日本初のMORPGにあたるであろう(MMOじゃなくて、MO。つまり少人数用ネットワークゲームのこと)「ファンタシースターオンライン」を始め、カルドセプトIIなどの通信対応ソフトがいくつか発売され、「ゲームもオンラインの時代」の到来を予見させる、まさに夢のゲーム機だったのです。

しかしながら、そんな夢のゲーム機も、通信機能を持たないPlayStation2に全く歯が立ちませんでした。それにはいろいろな要因があるとは思うのですが、少なくとも当時の日本のゲーム業界においては、通信機能は販売の戦力にはならなかった、という事はハッキリと断言できるでしょう。これは、その後発売されたXBOXの日本での不調にも、間接的につながっていく要因の一つだったと言えます。

ちなみに、そんな日本でやっと通信機能が陽の目を見るのは、PlayStation2用に発売されたファイナルファンタジー11の出現によるところが大きいでしょう。日本で本格的にADSLが開始されたのが、ちょう2000年を過ぎた頃であり、2001年夏頃にYahooBBの参入したことによる低価格競争の結果、一気にブロードバンド環境が浸透していきました。そんな時代背景の中、2002年の春頃にファイナルファンタジー11が運営開始されました。それまでは、所詮マニア向けゲームとして扱いの低かったネットワークゲームが一気に知名度を得た瞬間だったといえるでしょう。
そして、ファイナルファンタジー11が作った通信環境という土壌をもとに、モンスターハンターなどのヒット作が発売され、やっと通信機能を利用したゲームがだいぶ市民権を得るようになってきたと言えるのではないでしょうか?
振り返ってみれば、これはファイナルファンタジーという「ブランド力」がなせる力技であったといえるでしょうが、もう一つの大きな成功要因は「通信環境の変化」だといえるでしょう。時期的にADSLを始めとしたブロードバンド回線の普及がある程度広まっていたのが、結果的には非常に大きな成功要因の一つであったとおもいます。

なぜか?

ぶっちゃけた言い方をすると、アナログモデムを利用したネットワークゲームは莫大な通信費用が掛かったからです。アナログモデムの場合、電話を使ってインターネット接続をする訳ですので「ネットワークゲームをやっている時間=通話料金がかかる時間」となります。更に、ゲーム最中は電話がつかえなくなるという「家族がいる家庭」では、かなりネックになる要素を含んでいました。これは回線をISDNに変える事で回避できたものの、わざわざゲームのために基本料金の高いISDNに切り替える、というのは、家族から簡単に理解されるものではないと思います。
話は金額面にもどりますが、当時の電話料金は、たしか3分10円(市内通話)でしたので、ネットワークゲームで一時間遊ぶと、電話代だけで200円かかる訳です。「たかが200円じゃない」と馬鹿にすることなかれ。昨今のゲームの場合、中古市場に商品が流れることを危惧し、おおむね20〜50時間以上のプレイ時間がかかるような作りをしているのが一般的になります。おおむね、ゲーム新作の流通は一ヶ月程度で止まるのが相場らしいので、この20〜50時間というプレイ時間が一般的なゲームプレイヤーの一ヶ月分のプレイ時間と換算してもそんなに的外れな数値にはならないでしょう。そして、これを電話代に換算すれば一月当たり4000円〜10000円の負担となります。ゲームソフト以外の出費としてはそんなに小額とはいえないでしょう。更には電話代プラス、プロバイダ料金も発生しますからね。
また、当時からパソコンを含める各種ネットワークゲームに手を染めていたHP管理人ですが、あるコミュニティに属しているときに通説として扱われていたネタとして「年間1000時間プレイで廃人プレイ」といった内容のものがありました。一年間にそのゲームにつぎ込む時間が1000時間を越えたら立派な廃人である、ということです。前述の数値で換算すると、年当たり240〜600時間となりますので、1000時間超えで廃人、というのも、これまたあながち大ハズレな数値ではないでしょう。ちなみに、HP管理人は廃人であるという自覚はまったくありませんが、それでも1000時間程度はそのゲームにあてがっていた時期もありましたし、学生さんや、今で言うニート的な生活をしていた人によっては、実に年2000時間以上も遊んでいる人も散見できました。
まぁ、2000時間は極端としても、「普通のゲームを遊ぶ感覚」で年240時間という数値で電話代を換算すると48000円。廃人最小クラスの1000時間で電話代を計算すると実に20万円にもなってしまいます。つまるところ、「アナログモデムでゲームに熱中しすぎると、年間で数万〜数十万が電話代として飛んでいってあたりまえ」ということになる訳です。この額は一般的に見て、誰もがゲームに費やせるとはいえない状況だと思います。

しかしながら、ファイナルファンタジー11がサービス開始になった時期は、まさにブロードバンド時代。極端な話、一度ブロードバンド回線を引いてしまえば、一日何時間遊んでいても、通信料金は一定でOK、ということですね。そもそも、その金額ですらパソコンなどのインターネット通信代として、最初から支払っている金額ですので、実質的な金銭負担が増える訳ではない。つまりネットワークゲームを遊ぶにあたっての通信費という追加負担が発生しない、という時代がやっと来た訳です。

そして、今。XBOXからXBOX360へ時代は移り、XBOXの時代には全て有償だったLIVEコンテンツも、一部無料で使えるようになるなど、ネットワークをつかってのゲームプレイもより敷居の低いものになってきたといえるでしょう。ホント、いい時代になったものです・・・。

あぁ、なんか話が長く、そして取りとめもなくなってきましたね。
どうも年寄りは、話がくどくていけませんね(^^;

なにはともあれ、ネットワークゲームが市民権を得ておらず、また、とんでもなくお金がかかる時代に、楽しく遊んだカルドセプトII。あの懐かしい日々が、XBOX360の美麗なグラフィックとボイスチャットで蘇る・・・。
なんか、ほんといい時代だよな、と感慨にふけってしまった次第です。

 

追記
ちなみに、名実ともに貧乏生活をおくり続けるHP管理人が、そんなに馬鹿高かった通信費用を捻出できる訳がありません。そこはそれ、ちょっと知恵を絞って「アナログモデムからテレホーダイを利用する」という、裏技っぽい手段で通信費用を大幅に抑えていました。ちなみに、テレホーダイとは、23:00〜翌08:00までの定額制ISDN接続サービスで、完全定額制であるフレッツISDNの前身のようなサービスです。当時は時間限定なれど月額1800円でネット接続し放題という、ネット接続の定番的サービスであり、「テレホタイム突入でネットが重い」なんて現象が起きていましたっけね。

うーん、どれも懐かしいネタだなぁ(^^



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