Sudeki(スデキ)

更新履歴:2005/07/13 公開開始


パブリッシャー
マイクロソフト

発売日
2005/07/14

ジャンル
アクションRPG

オフラインプレイヤー数
1名

XBOX LIVE対応状況
非対応

接続器機対応状況
DolbyDigital(5.1ch) 対応
HDTV(D2)対応


開発元
Climax

希望小売価格(税抜き)
\5,800

レーティング
15歳以上

公式サイト
XBOX公式サイト内紹介ページ
スペシャルサイト

 


このページ内で使われている
ゲーム画面のスクリーンショット
および動画はすべて自宅環境にて
撮影されたものです。
そのため、画質等は実際の
ゲーム画面よりかなり低めと
なっておりますので、
その点をご了承ください。

 

■■■ ゲームレビュー ■■■

○日本向けのRPGを海外で作成したら、こんなゲームになりました
「Sudeki」は、Climaxというイギリスの会社で制作されたアクションRPGです。
Climaxといえば、XBOXユーザーにとってみると、MotoGPの開発をしたところ、というと話の通りがよいでしょうか?
もっともClimaxというメーカーはレースゲーム専門という訳ではなく、いろいろなジャンルのゲームを作ってる会社のようで
一時期はWindows版向けにMMORPGなども作成していた(開発途中で中止の模様)ようです。
それはともかくとして、当然Sudekiはレースゲームでは有りません。前述のとおりのアクションRPGとなります。
しかし、Sudekiはただのアクションゲームでは有りません。
日本市場を意識した?かどうかは別にして、明らかに「日本で流行っているアクションRPGを意識したゲーム」となっています。
ウソか本当か真偽の程は判りませんが、どうもファイナルファンタジーあたりを意識しているらしく、戦闘部分以外の
ゲームの基本的なベースの部分は、明らかに最近のファイナルファンタジーあたりの雰囲気を、そこかしこに感じることができます。
また、タイトルのSudekiという名前そのものも、日本語の「ステキ」が語源のルーツとそこかしこで言われているこの作品。
どこをどうとっても、日本のRPGを意識した作りになっていますが、あくまでも作成は海外のメーカーであり、
そこには、決して交じり合わない文化の違いが明確にでてしまっている・・・・・か、どうかはレビューの続きをお楽しみに。
 
美麗なグラフィックはXBOXならでは。Windowsのゲームなどでは表現に非常にパワーの必要な影の描画もこのとおり。



○驚愕のパッケージ(ちょっと大げさ)
まず、パッケージを手にとって見た人(もしくは当レビューのトップにあるパッケージ写真を見た方)は、
「これ、本当にXboxのソフト?」と驚かれた方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?
実のところ、HP管理人もはじめてパッケージを手にしたときには、かなり驚きました。
何処をどうみても、日本で開発された日本向けソフトの雰囲気全開のパッケージイラストだからです。
実は、このパッケージですが、既に発売されている海外版とは異なるイラストが採用されています。
海外版パッケージでは、比較的ゲーム内容に近いキャラクタが利用されていますが、今回発売されている
国内向けパッケージでは、ゲーム内キャラクタのイメージイラスト?を採用しています。
もちろん、ゲーム内で実際に使われているキャラクタは、ベタな印象がつよい、いかにも海外開発のソフトと見て取れる
デザインとなっていますので、パッケージイラストだけに惚れ込んでソフトを購入してしまうと、
ゲーム内で使われているキャラをみて大きく落胆してしまう、ということもおきかねませんので、
普段パッケージイラストでゲーム購入を決めてしまう人は十分注意が必要でしょう。
 
左が、パッケージ写真でいう真中の女の子。右がパッケージ右側にでている赤髪の男の子。
衣装の露出度や、青髪大きい瞳というジャパニメーションヒロインの特徴をモロに継承(^^;

 

○日本語化は台詞も音声吹き替え済み。しかし、そこにも驚愕の事実が(さらに大げさ)
最近の日本語化されたソフトの傾向を見ると、字幕吹き替えのみで音声はそのまま、というケースが比較的多く見られますが、
Sudekiでは、しっかりと各キャラクタの台詞も日本語化されています。
5800円(税抜)でここまでしっかりとした移植をおこなってくれているのは正直嬉しいところです。
しかしながら、個人的にさらに驚いたのは、「主人公の名前まで日本語版は変更されている」という点です。
どうも、語の響きや受け入れやすさ、もともとの語源など、いろいろな点を配慮してキャラの名前まで変えているようですね。
このあたり、思い切ったことをするなぁ、と少々感心してしまったのはHP管理人だけでしょうか?

 

○戦闘システムはアクションRPG、なれどFPSにも
Sudekiでは、4人の主人公がおり、その4人はそれぞれに大きな特徴を持っています。
ゲームの肝になる戦闘シーンにおいては、主人公のうちの2人が見下ろし型のアクションRPGでの動作となりますが、
もう2人は、FPS系の操作形態をもつキャラとなっています。キャラの切り替えはボタン一発でおこなえますので、
アクションRPGになったり、FPSになったりと、なかなかに面白いシステムを採用しています。
なお、戦闘中に自分が操作していない他のキャラクタ達は、自動戦闘にて戦ってくれます。
実際の戦闘ですが、攻撃ボタンは2種類用意されており、この2種類を3回ワンセットで押すコンボ操作で
いろいろな戦闘パターンを発動させるという形式になっています。
システム的にはファンタシースターオンラインに類似していますが、それよりもコンボ操作で発動できる攻撃の種類が
多種に渡り、より戦略的な要素を含むようになっています。
例えば、ボタンを押す組み合わせによって、周りの敵に対しての全体攻撃タイプが発動したり、
1点突破の突き抜け型攻撃が発生したり、といった感じで、コンボの内容はかなり多彩になっています。
実際のあそんでみると、このコンボ攻撃を如何に効率よく出していけるかが重要ではないかと感じました。
また、SPを消費しての特殊攻撃も強力で、SPの最大値の関係にて乱発はできないものの、その制約にみあった威力を発動してくれます。
ちなみに、日本ではどうしてもFPSは低評価ですので、アクションRPGとFPSが混在するというこの形態には好みが分かれると思いますが、
FPSは絶対にダメ、という人の場合、見下ろし型戦闘の2体のキャラを自分操作のキャラにすればよいだけなので、
極端に制約が大きいシステム、という訳ではないといえるでしょう。
 
戦闘シーン。肉弾戦闘系のキャラは左のような引き画面での戦闘。魔法などの遠距離攻撃系は右のようなFPS画面での戦闘。
FPS拒絶症の人がおおい大半の日本人には少々受けが悪いかも知れないけれど、個人的には面白いなと思う仕様。

 

○戦闘シーン以外は、国産RPGそっくり
戦闘シーン以外の、いわゆるアドベンチャーシーンでは、国内発売の国産RPGでよく見られる手法が採用されています。
斜め視点からの見下ろしタイプで、屋外は視点変更が可能で自由に移動できる反面、屋内では見下ろし固定視点で視点変更は
できない、という、どうみてもどっかでみたようなシステムを採用しています。
どちらかというと、個人的には全てのシーンで自由視点のゲームが好きな為、屋内の固定視点は少々マイナスイメージを
持ちましたが、別におおきなマイナス点という訳ではなく、あくまでも個人的な好き嫌いの範囲の話ですし、
そもそも、アドベンチャーシーンを独自性の高いものにしてかえって判り難くしても仕方が無いと思うので、
このあたりの仕様は、慣れ親しんだ仕様で受け入れられやすいシステムがが採用されている、と評価してよいのではないでしょうか。
実のところ、HP管理人が遊んでいるゲーム画面をみて、嫁さん曰く「FFみたいなゲームだね、私にも出来そう」とのこと。
XBOXソフトの場合、どうしても海外産ゲームになれていない大半の一般ゲーマーにとっては、素人お断り的な雰囲気が
出てしまう場合が多いのですが、Sudekiの場合、こういう点でも一般受けもそれなりにしそうな気配ですね。
肝心?なストーリーはメインが一本道で、簡単なサブクエストを街行く人から請け負うという、これまた国内産RPGの定番スタイルです。
ゲーム内にはNPCとの会話にて、複数の選択肢が選べますが、実際にはなにを選んでもメインのストーリーに大きな変化はないようです。
なお、アドベンチャーシーンの中には、各キャラクタごとに用意された特殊な技能を使わないと、
その仕掛けを解除することができない、という要素も備わっています。
ただし、その難易度は決して高くないので、仕掛けで楽しむという程のものではなく、あくまでキャラを入れ替えてそれぞれの
キャラの個性を体感してね、といった程度の内容となっています。
全体的には、CERO15対象のゲームとなっていますが、もっと低年齢層でも十分に楽しめる構成になっていますが、1点だけ注意を。
全体的な雰囲気は低年齢層向けのSudekiですが、やはりCERO15になるには訳が有ります。
選定基準については情報収集をしていないので、あくまでも個人的推測になりますが、まず戦闘時に大量の血液描写があること。
特に、特殊攻撃時などは、かなりの出血大サービスです(汗。これだけ派手に描写するとCERO18行きか?とこちらが心配してしまう
ぐらいの描写です。個人的にはゲームの血液描写なんてドーでもいいだろ?とおもうのですが、昨今はなにかとアレな時代ですので。
もうひとつは、NPCとの会話の選択肢で、およそ子供向けではない選択肢が結構出ること。
別にアダルトチック、という訳ではなく、教育上言葉使いがよくないですよ、みたいな程度のものですので妙な期待はしないように(汗。
この2点がなければ(控えめであれば)、CERO判定はもうすこし低めだったのかもしれませんね。
 
左の画面は隠しアイテムがある像のシーン。剣士君では開ける事が出来ないが、魔法使いの彼女には開けることができる。
その他にもいろいろなトラップがあり、各キャラクタを上手く使い分けてクリアしていく。
ただし、一目でわかるような物ばかりなので、謎解きといった雰囲気は殆ど無い。

 

○良いことばかりじゃレビューにならない
1.国産ソフトに比べると、全体的に甘さの残る作りこみ
国産ソフトの至れりつくせりぶりは、はっきりって少々異常じゃないか?と思えてしまうほど、よく練りこんである
システムが採用されているゲームが数多く販売されているのが日本国内のゲーム市場ではありますが、
Sudekiでは、そういう練りこみの部分がなんとなく今一歩足りないような印象を受けました。
例えば主人公は4人PTで随時、自分の操作するキャラが変えられるのですが、4人は別々の個性と経歴があるので、
相手が同じでも常に同じ会話になる訳はないのですが、実際は誰が話し掛けても会話内容が同じであるとかですね。
これに限らずですが、実際に遊んでいると、いろいろな部分で「痒いところに微妙に手が届かないもどかしさ」を
感じるシーンが多くあり、決して致命的ではないけれど、どうも快適でもないというような感じの出来になっているのが
少々残念なところです。
このあたりは「世界一のサービス過剰国家」といわれて久しい日本人ならでは感覚であり、
逆にいえば、日本人以外ではそこまでの至れり尽せり状態のものをつくるのは、民族性的にむずかしいんじゃないか?と
Sudekiを遊んでいて思わずかんがえこんでしまいました。
 
こんな感じで、誰が誰に話し掛けても会話内容は変らない。全部のNPCに全て別の名前をつけるなんて手間をかけるぐらいだったら、
こういう所こそ手を抜いて欲しくなかったという一場面。これに限らず、微妙な違和感を感じるシーンは結構多い。

2.難易度変更ができないのは大きな不満
FPSにしろ、アクションRPGにしろ、難易度変更ができないゲームというのは、やはり大きなマイナス点と言わざるを得ないでしょう。
別段Sudekiが高難易度でクリアできない、という訳ではなく、単純に出来ないという点そのものに不満があります。
どちらかというと、子供向け的な直球勝負のゲーム展開だけに、より広い層をターゲットにするという意味でも
難易度設定は有った方がよかったのではないでしょうか?
それに、どうしても個人差によって「楽しいと思える範囲」が絶対的に違うのがゲームバランスであり、
そのバランスが調整できないというのは、正直なところ、あまり頂けない仕様ではないかといえるでしょう。

 

○総括
海外で制作された日本人向けRPGの雰囲気が色濃く残るSudekiですが、その分国産ゲームと比較してしまうと
どうしても微妙な違和感があるのは致し方ないところだといえるでしょう。
端的な言い方をすれば、「ハリウッドで作った忍者映画は日本人から見れば噴飯物」という状況とほぼ同じな訳ですし。
また、おそらくは描画関連が大半の理由でしょうが、CERO15の割には内容は子供向け的なわかりやすさというか安直さが目立つ
作品であるので、重厚なストーリーを期待するとやはり当て外れになるでしょう。
もっとも、あのパッケージの雰囲気から重厚なストーリーを期待する人は滅多にいないでしょうが(^^;
その点を理解しており、かつXBOXというハードをつかってRPGを楽しみたい、というのであれば、
日本語フルボイスでの完全移植で5800円と低価格であり、ゲームの内容もFPS部分を覗いては国産RPGとの違和感のすくないSudekiは
お手軽に楽しめるアクションRPGとして、よい選択肢のひとつになるのかもしれませんね。