Forza Motorsport (フォルツァ モータースポーツ)

更新履歴:2005/05/11 公開開始


パブリッシャー
マイクロソフト

発売日
2005/5/12

ジャンル
レーシング シミュレーター

オフラインプレイヤー数
1〜2名

XBOX LIVE対応状況
マルチプレイヤー
スコアボード
フレンド
ボイスチャット

接続器機対応状況
DolbyDigital(5.1ch) 対応
HDTV(D2)対応
ワイドテレビ対応
システムリンク対応


開発元
Microsoft Game Studios

希望小売価格(税抜き)
\6,800

レーティング
全年齢対象

公式サイト
XBOX公式サイト内紹介ページ
スペシャルサイト

 


このページ内で使われている
ゲーム画面のスクリーンショット
および動画はすべて自宅環境にて
撮影されたものです。
そのため、画質等は実際の
ゲーム画面よりかなり低めと
なっておりますので、
その点をご了承ください。

 

■■■ ゲームレビュー ■■■

○ありがちなレースゲーム?いえいえ、これはレーシングシミュレータです。
「Forza Motorsport」は、実際のレーシングエンジニアの協力を得て開発されたレーシングシミュレーターとされています。
シミュレータとはちょっと大げさかな?という感じはしないでも有りませんが、実際に遊んでみると一見した限り
あまりシミュレーションっぽい雰囲気は有りません。
しかしながら、その裏側には緻密な計算で自動車の挙動が計算されており、
車体の挙動など、非常に良く出来ている印象を受けました。
また、車体のチューニングはもちろん、デザイン変更などのカスタマイズ要素を盛り込み、
自分の嗜好に有った車体を作り上げることが可能です。
言葉にしただけでは、単純にエンジンなどの「見た目的に見えない部分での数値変更」と
「車体のカラーリング程度のカスタマイズ」とおもわれがちですが、車体のカスタマイズに関しては、
実在するエアロパーツなどによる儀装もでき、しかもそれが空力的にきちんと車体性能に反映されるようになっています。
そして、カスタマイズされた車体をあやつり、各国のサーキットや市街地コースでのレースを楽しむことができます。
用意された車種も世界各国の実在するメーカーから、計230 車種以上を収録しており、その内容も、
全日本GT選手権やルマン・プロトタイプカーから、一般市販車クラスのものまで多種多様にわたっております。
しかも、え?!こんな車種まで!!、といったものまで掲載されており、個人的にも感激ひとしおという感じです。
レースコースも有名なニュルブルクリンクを始め、日本では筑波サーキットなど実在する多数のコースに対応しており、
このほかにも、東京やニューヨークなどの仮想市街地コースや峠道など、
計45ものコースで、レースを楽しむこともできます。
また、Xbox Live 対応により、世界中のプレイヤーと対戦やランキング争いなどを楽しむことも可能です。

登録車種は多種多様。日本では不人気だった車種もあったりで、個人的には感涙物。
なお、初期状態では使えない車種も、ロック解除によって使えるようになるのは定番的なところ。



○Xboxソフト恒例ともいえるゲーム画面の美しさと完成度の高さ
毎度毎度の台詞となりますが、今作のFrozaも非常に画面が綺麗です。
路面の質感、光線の具合など細かい部分までよく描きこまれていますが、Frozaの場合は、画面の書きこみだけではなく、
路面から伝わる震動や効果音、街灯などの近くを通り過ぎる際に聞こえる風切音など、数え上げればキリが無いほど、
非常に細かい部分まで「実際に運転する」という点におけるあらゆるファクターをよく再現しているとおもいます。
ハード上の限界の問題で再現性に制約がある他のコンシューマ機種に比べると、やはりハードのパワーというのは
表現にこだわりを出したいゲームにとっては、重要な要素の一つだなぁ、と感じることが出来る仕上がりになっていると思います。
しかも、綺麗な上にリアリティも高いらしく、実際にそのコースを走った経験のある方からみても
かなりの出来を誇っているようですので、世界中のいろいろな地域性の現れた、いろいろな風景の中での走行が出来るのが
1つの大きな魅力となりますね。
また、定番のレース後の再生機能もきちんと搭載しています。自分の運転を見直しながら、周りの美しい風景などを
じっくり堪能するのも良いのではないでしょうか?
しかも、この再生機能、ただの再生機能ではありません。
走行データをリアルタイムで見ることが可能になってします。
これらの情報もマシンセットアップの1つの情報になることでしょう。

このような形で、再生機能で、車体の各種情報を得ることができる。



○コントローラーでの操作性もバッチリ
コントローラーのキー配置は定番の、右トリガー(アクセル)・左トリガー(ブレーキ)・左アナログ(ハンドリング)の
3つとなり、マニュアルレスでいきなりゲームを楽しむことが可能です。
もうちょっとこだわりたいということであれば、ざっとマニュアルに目を通していただければOKな訳ですが、
基本的にゲームを始めた瞬間から何も考えずに操作が可能なので、とてもポイントが高い部分ですね。
他のコンシューマ機や、パソコンなどでレースゲームを遊んでいると
常に思うのが「ハンドルコントローラがないとゲームにならんなぁ・・」という点です。
おもに、微妙なハンドリング(ちょっとだけハンドルをきりつづけたい場合など)や、アクセルワークなどの操作が
既存のゲームパッドなどが、自分のイメージどおりにならずに、以外と難しいからです。
もっとも、このあたりは個体差と「実際に自動車の運転をするかしないか」でかなり意見の分かれる部分だとはおもいますが、
それはさておき、特にFrozaではハーフスロットルを個人的には多用している関係もあり、
押しの深いトリガーがアクセルになっているXboxのコントローラは非常にありがたいデバイスとなっています。
やはり、ソフト一本をポンと買ってきて、それだけで快適に遊べるというのはとてもポイントが高い点でしょう。

コース選択中は左のようなコース情報が表示される。右の画面はレース前のグリッド情報。
車体情報から計算で予想タイムが早い順からグリッドが決定されるようになっている模様。
そのため、車体を強化して、このように一番上にランクされた場合、非常に有利な条件で戦えることを意味する。


○自動車ゲームは苦手で・・・・と言う人でも安心の「推奨ライン」表示
実のところ、HP管理人は自動車レースゲームはかなり苦手のほうであり、その点に加えて海外製アプリの高難易度ぶりを
考えると、Frozaで実際に遊んでみるまでは、「ものの数分でなげちゃうかも・・・」という危惧が強かったのですが、
実際にゲームを始めてみると、単なる杞憂であることがわかりました。
これは、ひとえに「推奨ライン」表示モードに尽きるとおもわれます。
言葉で書くと、いったい何のことやらという感じですが、それは下のSSを御覧いただければ一目瞭然。
走行コース上に、「このラインを走るといいですよ〜」というコース案内がでるのですね。
しかも速度警告機能までついており、カーブへの進入速度が速すぎたりすると、通常は緑で表示される推奨ラインが
赤色に変化するリアルタイム式の指標のため、ぶっちゃけた話、このラインの上をしっかりと走るだけで
いとも簡単にレース走行が楽しむことが出来ます。
もっとも、慣れるまでは推奨ラインの上を走ること自体が難しく思えるのですが、
逆にいえば「推奨ラインの上すらスムーズに走れない=全然ダメな運転」とも言えますので、
自分の運転技術の向上という点においても、この推奨ラインというオプション設定は非常に有益な機能ですね。
また、後述の「Drivatar」を使う為にも、推奨ラインを正確にトレースできる能力が必須になってきます。
実際に、この推奨ラインどおりに走れるようになってくると、HP管理人のようにレースゲームが苦手な人でも
どんどんタイム(順位)が上がってくることが実感でき、ゲームそのものがどんどん楽しくなってきます。
これは、とても画期的で素晴らしいモードだと断言できるでしょう。
ちなみに、この「推奨ライン」表示オプションは、デフォルトでONになっていますので、
やはりこれをつかって、よりFrozaを楽しんで欲しいというのが、製作者サイドの意向の現れなのではないか、とおもいます。

これが推奨ライン。無理の無い速度では緑色で表示されるが、無理な速度が出始めるとリアルタイムで
色が変っていくのは非常にありがたい機能。

 

○パーツ強化でレースに勝つ
Frozaは、プレイヤーの超絶走行テクニックでレースを勝ちつづける、という類のものではなく、
基本的には、車体を強化してレースで勝つ、というイメージが強くなっています。
パーツ強化には二種類の考え方があり、単純にパーツそのものを乗せ変えてパワーアップしていく方法と
乗せたパーツのチューニングにてさらにセットアップをつめていく方法があります。
通常のゲームの場合、これが一編にできるのが普通なのですが、Frozaの面白いところは
低級なパーツでは、パーツのチューニングそのものがあまり出来ないという点でしょうか?
個人的にはこれはよい方向につながっているな、と捉えています。
正直なところ、チューニングは時間と経験がないと最適なものを導き出すことが難しく、
ゲームの初期段階でこれを要求されると、ちょっと敷居が高すぎてしまう嫌いがあります。
その点、単純にパーツ構成だけでパワーアップが図れるのはお手軽ですし、かといってそれしか出来ないというのも
「シミュレーション」を謳うゲームとしては底が浅すぎとなりますからね。
なお、パーツは非常に数が多く、また一つ一つが細かく設定されており、エンジン部分から足回り、エアロパーツの空力まで
およそ実際の車でいじれる部分は一通りいじれるのではないか?と思えるほどの充実振りです。
さらに、そのひとつひとつが緻密に計算されていますが、最初の段階ではあまり細かい部分までは気にしないでいいでしょう。
ちなみに、各種パーツはレースで賞金を稼ぎ、その賞金で購入することによって得られます。

左はセットアップの一画面。右はパーツの追加画面。両方ともかなりの細かい設定と選択が可能。
その他、ペイントやデカールなどの選択も可能と、まさにオリジナルの車体をつくる楽しさがそこにはある。


○勝つ為に走る。難しい様で、決して特別に難しいことじゃない。
さて、Frozaはレースゲームな訳ですので、やはり早く走れないと勝てない訳です。
それはそれであたりまえなのですが、これに関しては、推奨ラインのおかけで誰でもある程度までは
ある程度の慣れで、それなりの速さで走ることが可能になっています。
そして、Frozaで勝つもう1つのコツは、「大きなミスをしない」ことに尽きるとおもいます。
結局のところ、Frozaはシミュレーションと銘打つだけあり「一発逆転要素」的なゲーム要素が本質的に欠落しています。
つまり、実際のレースと同じで「大きな1ミスで全てがパー」になる、ということです。
もちろん、レースゲームの猛者ともなれば、「ミスなどありえない」ということになるのでしょうが、
HP管理人のような、どちらかというとレースゲームは苦手というタイプにとって、「ミスをしないで走りきる」と
いうのは結構難しいことなんですね。
そこでミスをしない為には、なにが重要かというと「実車と同じ感覚で走る」ことに尽きると思います。
実際に運転をしている方にとっては、車の挙動を安定させてしっかりと走る為には、幾つかの基本があると思います。
「カーブの前でしっかりと減速し、カーブ最中ではアクセルを急激に抜かないこと」
「ブレーキングの最中はハンドルを無闇に切らない」「カーブからの脱出をイメージしつつ、極力直線的な走行ラインを決める」
実際の運転では常に日常的に無意識にて行っているこのようなあたりまえの操作を守るだけで、それなりに早く走れます。
あとは、これまたパーツ強化により車体そのものを強化していくことで、確実に結果を残すことができるようになります。
このあたり、一見すると地味なようでなんの面白みもなさそうですが、この「確実に結果が残ってくる」というのが
Frozaの大きな楽しみに1つだと思います。

 

○定番にして、充実のゲームモード。そしてDrivatarというなのAI育成の楽しみも。
気になるゲームモードですが、これは至って定番的なものが用意されています。
・アーケードモード(とりあえず走りたい方向け)
・キャリアモード(定番のキャンペーンモード)
・マルチプレイヤー(対戦モード。画面分割、システムリンク、XboxLiveに対応)
・タイムトライアル(使用車種が限定されているので、勝敗は単純にドライバーのテクニックのみで決まるガチンコ仕様モード)
・フリーラン(車種、コース共に自由に選定可能)
キャリア1つとってもかなりのボリュームですし、アーケードなどでも、これまた定番のアンロック方式が採用されている為、
すぐにやることがなくなってしまう、ということはまずないでしょう。
さらにゲームモードとはちょっと異なりますが、Drivatarという機能が実装されています。
これは、自分の運転を人工知能が自己学習することにより、実際のレースには、その人工知能に代理走行をさせることが
できるものです。人工知能といっても、あくまでも自分の運転を学習しての結果ですし、
その学習も、専用コースで推奨ラインを正確にトレースすることにより運転精度を上げていくというものですので、
Drivatar利用で結果を出す為には、やはりある程度いろいろな車種を確実に操作しきれないといけないことになります。
そのため、この人工知能を鍛え上げるのも、1つのFrozaの楽しみになるといえるでしょう。

ゲームモードは上記のとおり。右のフリーランでは殆どの車種と全てのコースが遊べるようになっているので、
「このコースを走ってみたい!」というこだわりがあれば、まずはこれから選ぶのもいいかも。



○良いことばかりじゃレビューにならない
1.ゲーム内視点で是非実装して欲しかった「コクピット視点」
ゲーム内視点は、これまた定番ともいえる4種類(車体後方視点、車体後方上部視点、運転席高視点、車体高視点)が
用意されています。この当たりは、完全に好みになると思うのですが、個人的には運転席高視点がお気に入りです。
やはり、普段運転で見慣れている視点に近い状態で遊ぶのが、一番アドレナリンがでる、とでもいうんでしょうか?(^^
であれば、なんらダメダシポイントにならないのでは?という気配なのですが、個人的に残念な点が1点。
以前レビューをおこなったRALLI SPORT CHALLENGE 2で実装されていた「コクピット視点」が無い点です。
あれは非常に雰囲気の出ていたモードでしたので、実車操作感覚の強いFrozaでは、なおのこと採用して欲しかったモードだと
個人的には思えてなりません。


画面表示モードは上記の四つ。やはり個人的には左上の「運転席高視点」が一番だが、やはり「コクピット視点」が望ましかった。

2.レース部分以外で、細かい若干の不満
「レースで勝ちました。賞金もらいました。やった、これであのパーツが買える!」という場合、
パーツ購入までの操作として、一度順を追ってレースモードを抜けてから、パーツ購入ができるモードまで移動しなければ
ならないのはちょっと煩雑に感じられます。
できれば、レースモードからすぐに車体カスタマイズモードに移行できて欲しかったところです。
また、同じステージを繰り返して遊ぶことは、キャリアモードでは良くあることだとおもいますが、
その際もそのステージのロード時間は、最初にそのステージを選んだときと同じぐらい掛かっています。
おなじステージを同じ条件でリトライするのですから、もう少しなんとかならないのかなぁ?という印象をもちました。


○総括
「レーシングシミュレータ」と聞いたときには、正直あまり面白そうじゃないな・・・・、という印象が強かったのですが、
蓋を開けたらびっくり仰天。自分でもびっくりするほどのハマリっぷりです。
一発逆転要素的なゲーム性とは無縁のゲーム内容ですが、それがかえってゲームへの熱中度を上げています。
ゲームそのものの完成度が非常に高く、また「運転している快感」を得られるのが非常にいい感じです。
個人的には今までに手をつけた自動車ゲームは決して多くはありませんが、おそらく一番ツボに入ったゲームだと言えるでしょう。
自動車レースゲームの得手不得手に限らず、多くの方に薦められる良作ですね。