Fable(フェイブル)

更新履歴:2005/03/16 公開開始


パブリッシャー
マイクロソフト

発売日
2005/03/17

ジャンル
RPG

オフラインプレイヤー数
1名

XBOX LIVE対応状況
非対応

接続器機対応状況
DolbyDigital 対応
HDTV(D2)対応


開発元
Big Blue Box/Lionhead Studios

希望小売価格(税抜き)
\6,800

レーティング
18才以上対象

公式サイト
XBOX公式サイト内紹介ページ
スペシャルサイト

 


このページ内で使われている
ゲーム画面のスクリーンショット
および動画はすべて自宅環境にて
撮影されたものです。
そのため、画質等は実際の
ゲーム画面よりかなり低めと
なっておりますので、
その点をご了承ください。

 

■■■ ゲームレビュー ■■■

○Xboxユーザ待望のRPGが完全日本語版にて登場
Xboxソフトと言えば、FPS系やドライビングソフト、アクションゲームが大半を占めているのが実情ですが、
これらのジャンルは海外では人気があるものの、日本ではあまり人気があるジャンルとは言えず、
日本人ユーザの中では、本格的なRPGの発売が強く望まれてきたと思います。
そんな中、Xbox専用ソフトとして、とうとう本格RPGが登場することになりました。それが「Fable」です。
しかも嬉しいことに、開発は海外であるものの完全日本語版としての発売となりました。

御覧のとおり、ちゃんと表示は日本語。日本語音声が流れるシーンでは、このような形で字幕も同時表示されるので、
なかなかいい感じ。もちろん好みによってオプションにて表示非表示の変更も可能。

 

 

○ジャンルは、ストーリー志向・マルチエンディングのアクションRPG
RPGといえば、いろいろなジャンルのゲームがありますね。
日本で主流と言われるRPGは、雑魚戦による経験値取得による、いわゆるレベルゲーが大半となっていますが、
Fableは戦闘部分を最小限にとどめたストーリー志向タイプのゲームとなっています。
ストーリー志向といっても、いわゆる一本道ストーリーを楽しむタイプではなく、ゲーム内での選択が
そのままゲーム展開に反映してくるタイプとなっており、雑魚戦を繰り返し、用意されたストーリーを見るだけのRPGとは
一線を規しています。エンディングも複数用意されたマルチエンディングタイプとなっており、やりこみ要素も強くなっています。

お姉ちゃんへのプレゼントをゲット。しかし、お姉ちゃんに素直にプレゼントを渡すかどうかもまた1つの選択肢。
幅の広い選択による展開の変化もまたFableの魅力の1つ。

 

 

○善と悪、あなたの行動1つで世界が変わる
Fableにおける、ゲーム内での選択ですが、基本要素は「善と悪」です。
これは、Fableの開発にあたったピーター・モリニュー氏ならではの要素と言えるかもしれません。
氏の名前を聞いてもピンと来ない方も多いかもしれませんが、氏は「ポピュラス」「テーマパーク」「ダンジョンキーパー」など
数々のヒット作の制作に携わっているイギリスのゲームデザイナーです。その作品群の中でも近作の「Black & White」は、
自らが神として原住民が住む大地に降臨し、プレイヤー行動によって原住民が善にも悪にもなっていく、という内容になっています。
これはまさに、Fableの世界に共通するコンセプトになっています。
また、Fableには、モーフィングという概念があり、自分の善悪度がキャラクタの見た目に反映されるようになっています。
パラメータという無味乾燥な数値で善悪を示すのではなく、まさに「見た目」で善悪の判断が出来るようになっています。
ゲーム内に出てくるNPCたちは、その見た目でプレイヤーの判断し、さまざまな対応をしてくるという具合になっています。

こんな素直そうな子供も、悪事を重ねていくと、どんどん荒んでくる。これぞまさにFableの善と悪の世界。

 

 

○笑える?導入部から、チュートリアルをかねた訓練を経て英雄への第一歩を
ゲームはほのぼのとした小さな村からスタートします。
プレイヤーは、少年として、姉さんのプレゼントを手に入れるために、村の中でいろいろな行動をとっていくことが出来ます。
父親の言うとおり、いい事をしてまっとうに報酬を得るのもよし、いきなり自由奔放に悪たれ小僧モードで進むもよし、
という感じになっています。
ちなみに、FableはCERO18(18歳以上の方のプレイを推奨)になってしますので、村の中でいきなりちょっと苦笑いを
してしまうようなイベントに遭遇してしまうのも、またご愛嬌でしょう。正直、これには「うーん、つかみはOKでしょ」と
笑ってしまいました。まぁ、世の中男と女しかいない訳ですしね(^^;
一体なんのことやら?と気になった方は、このシーンの一部を音声入り動画(約10MB、LZH圧縮)にしてありますので、
よろしかったらこちらからダウンロードしてみてください。

それはそれとして、すでに冒頭部分から「プレイヤーの行動による善と悪」は始まっており、村の中ではその基本的な概念と、
戦闘以外の基本操作を学ぶことができます。
そして、あるタイミングでプレイヤーは英雄ギルトの厄介になることになるのですが、そこでは戦闘関連の基本操作などを
学ぶことができるようになっています。
戦闘は剣と弓、魔法の3つを使い分けられ、自分の好きなとおりに各要素を成長させることができます。
幾つかの訓練の結果、晴れて見習い英雄のような感じで、世界への第一歩を踏み出すことになります。
Xbox恒例ともいえる、よく出来たマニュアルは付属していますが、このチュートリアルともいえる導入部のおかげで、
操作面に関してはマニュアルを熟読する必要な無いでしょう。
ただし、操作面以外で重要な情報も多く含まれているので、ざっとでよいのでマニュアルには目を通しておいたほうが良いですね。
なお、この導入部はプレイしてみると数十分〜1時間程度と短めのものになりますが、
たったこれだけの短い時間の中でも、既に「善と悪」の要素は組み入れられていますので、その点には注意が必要でしょう。

子供が助けを求めている。そんなときは、時には鉄拳制裁も必要。こんなシーンでの暴力は悪行にはならないが、
意味の無い暴力は即悪評へとつながってしまう。善人プレイを目指している場合は要注意。

 


○そして、英雄として世界を旅する。善と悪、プレイヤー一人一人のそれぞれの世界を。
英雄ギルドでの訓練を終了すると、世界の困った人たちを救うべく、英雄として世界を旅することになります。
ここでいろいろなクエストにチャレンジしていくことになるのですが、Fableにおける善と悪は、
クエストの進行だけではなく、何気ない行動1つによって左右されてくるので注意が必要です。
例えば、人と話しているときに、何気なくコントローラのボタンを押してみたとします。
もしそのボタンに人に不快感を与えるようなアクション(ゲップをするなど)が割り振られていたとしたら、
当然、自分の評価は下がりますし、逆に人々の賞賛に値するような行動(倒した敵の証明を見せびらかすなど)が
割り振られていたら、人々の自分に対する評価はより高くなっていくことでしょう。
また、例えば有る建物に入って見ると、棚が青く光り、何か有ることことが判る場合が多くありますが、
もしそこが誰かの家であり、自分が他人に見られている状態で、その棚を調べた場合は「盗みを働いた」として
お尋ね者になってしまいます。自分が他人に見られているかどうかというのは、画面上で一目でわかるようになっていますので、
善悪など気にせずそのまま調べるのもよし、人目につかなくなってから調べるのもよし、そのまま放置するのもよし、と
棚を調べる、という要素一つをとってみても、いろいろな結果が待ち受けてくることになります。
ここが、Fableがただの経験値稼ぎをしていればクリアできるRPGではないという所以となってきています。
自分の行動の全てが、プレイヤーの善と悪を決定する。それがFableの醍醐味であり、単なる経験値重視のパワープレイRPGと
一線を規している大きな部分と言えるでしょう。
個人的にも、いままでこのようなRPGは殆どお目にかかったことはありませんので、日本のRPGの主流ともいえる
パワープレイRPGしかプレイしたことの無い方には、非常に新鮮な経験となるでしょう。

平和だった村が焼かれていく・・・・。絶体絶命の主人公を英雄ギルドのメンバーが助けてくれた。
しかし、それは決して偶然ではない・・・・・そんな予感をさせるワンシーンだ。

 

 

○やりこみか、一気に突き進むか。それもまた自分の選択次第
Fableのストーリー展開は、細かくやりこんでいくか、先へ先へと突き進んでいくかの選択すら自分で行うことができます。
いろいろなNPCに話し掛けてみて、思わぬ依頼(本編に関係無いと思われるイベント)を受けることもできます。
また、1つのステージが終わり、次のステージに移行するタイミングも選択制になっており、ここで遣り残したことがあると
おもうのであれば、次のステージに進むことなく、そのステージでしばらく探索を続けることもできます。
全ての選択がプレイヤーに任される。この自由度もFableの1つの魅力と言えるでしょう。

訓練のワンシーン。結果に納得がいかなかったり、もっと操作に慣れておきたい場合、繰り返しチャレンジもできる。
右側は長時間の読み込みの際に表示される一口ヒント。Xboxソフトでよく見かける手法だが、やはりあると便利。

 


○良いことばかりじゃレビューにならない
1.あまりよくない視認性が少し気になる
Fableは細かいオブジェクトなども良く書き込まれており、色使いも派手目で、これ自体には良い印象をもっています。
そして、ゲーム中では、キャラクタの縁取りの色で、自分に対する感情などがわかるようになっています。
自分の近くに立っているNPCが緑色に光っていれば、何かしらのイベント対象であり、赤く光っていれば敵対しているという具合です。
しかしながら、この縁取りですが、画面の色使いが派手目な分、あまり視認性が良くありません。
また、細かいアイテムを集めてきたり、細かい敵を倒すイベントもあるのですが、この「細かいオブジェクト」を
見つけるのにも、派手目な色使いの画面が仇になってしまい、ぱっと見で良くわからないという状況になってしまっています。
キャラクタを縁取り色で分けるという発想は決して悪くないのですが、実際に遊んでみると視認性の悪さに
思わぬストレスに感じる部分がありますので、これは残念としか言いようがありません。

左側が子供が緑色に光っている場面。右が大人の女性が青く光っている場面。
どちらもあまり見やすいとはいえず、背景や周りの天候や時間によってはさらに見づらくなることもしばしば。

 


○総括
Xboxの本格RPGとして、しかもピーター・モリニュー氏の最新作としても大きな注目を浴び、
事実、先行販売されている海外版は大ヒットを飛ばしているFableですが、日本でも大きなヒット要素をもつ良作でしょう。
むしろ、日本のRPGの主流ともいえる「一本道ストーリー」「雑魚戦闘を繰り返し、レベルを上げてのパワープレイ」という
要素をもたないRPGとして斬新な部分も多く含まれており、RPG好きな、普段RPGでよく遊んでいる日本人にこそ
遊んで欲しいゲームだと言えるでしょう。
これだけの分岐をもつゲームだけに、開発、とくにデバックには膨大な手間と時間が掛かったに違い有りません。
この手の問題を避けるために「一本道ストーリー」ばかり作成する国産RPGベンダーにも、是非見習って欲しいところですね。

それはともかくとして、まず一回目のプレイでは、小難しいことは考えずに、自分の心の赴くままに遊んでみて、
その結果を楽しんでみるのがよいのではないでしょうか。
自分の思ったとおりの行動が、Fableの世界でどう評価されていくのか・・・・
ひょっとすると、Fableを通して、自分の新しい内面を見つけられるかもしれません。
それもまた、Fableの楽しみ方の1つではないでしょうか?