Shadowrun
(シャドウラン)

更新履歴
2007/07/01 公開開始


パブリッシャー
マイクロソフト


発売日
2007/06/21

ジャンル

レーシング

オフラインプレイヤー数
1名
システムリンク 2−16名


XBOX LIVE対応状況
プレイヤー2−16名
コンテンツ ダウンロード


接続器機対応状況
HDTV D4



開発元
FASA studio


希望小売価格(税抜き)
\5,800

レーティング
CERO D(17歳以上対象)

公式サイト
XBOX公式サイト内紹介ページ
WindowVista版公式ページ





※このページ内で使われているゲーム画面のスクリーンショット、および動画はすべて自宅環境にて撮影されたものです。そのため画質等は実際のゲーム画面よりかなり低めとなっておりますので、その点をご了承ください。


■■■ ゲームレビュー ■■■

○エルフやドワーフが近未来で銃と魔法を駆使して戦いを繰り広げるFPSゲーム
XBOX360版Shadowrunは、近未来を舞台にし、最大8人対8人によるチーム戦をメインコンテンツとするFPSゲームとなります。
と、これだけ書くと、ありふれたFPSゲームの一つに過ぎないように感じられますが、XBOX360版Shadowrunは一味違うんですね。実はXBOX360版Shadowrunには大きな特徴が二つあります。
まず一つ目は「他に類を見ない世界観」です。「舞台は21世紀半ばの地球。そこは、近未来の高度な科学技術と魔法の同居する世界。」
そう、魔法ですよ魔法。別に小難しい話ではなく、単純に近未来での銃撃戦の要素に、魔法要素を組み込んであるという設定ですね。これまたこう書いてしまうと「ふーん、なんかありがちな設定だよね・・・」となってしまうと思うのですが、そう思いつつも良く考えてみると科学と魔法の共存という設定は、ある意味荒唐無稽すぎてあまりお目にかかることの無い世界設定だと思うんですよね。なんといっても、ヒューマン、エルフ、トロール、ドワーフというファンタジー世界では定番の種族達が、魔法を駆使しながら戦う・・・・その舞台は近未来で、彼らが使う基本的な武器は剣は弓ではなく銃・・・とくれば、さすがに違和感ありまくりの設定としかいえないですよね。
ちなみに、XBOX360版Shadowrunの世界観はゲーム用の後付設定的な付け焼刃の中途半端なものではなく、しっかりとした土台があります。それはTRPG版Shadowrunの存在ですね。TRGP版とはなんぞや、という話は後述させていただきますが、このTRPG版Shadowrunの存在により、非常に緻密な世界観をベースにした奇想天外なFPSゲームが誕生したと言えるでしょう。
なお、TRPG版Shadowrunの世界設定をベースに、過去にスーパーファミコンやメガドライブといったコンシューマ機器にて、RPGやアクションゲームの発売も行われているようですが、残念ながらHP管理人はそちらで遊んだことがないので、今回のXBOX360版との関連はよく判りません。ただし、それらの発売時期がかなり過去になることやXBOX360版Shadowrun自体がストーリーモードがない対人特化型FPSタイプのゲームになっているため、過去に販売されていたゲームで遊んでいなくともおそらくは全く問題ないであろうと思います。むしろ過去に販売されたコンシューマ機版が気に入ってXBOX360版Shadowrunに注目している人や、TRPG版Shadowrunで遊んでいて、単純にShadowrunのコンピュータRPG版を期待している人にとっては、XBOX360版Shadowrunはまった傾向の違うゲームとなりますので、その点は注意が必要になりますね。なお、何版何版とか少々煩わしいので、以下Shadowrunと記述した場合は、XBOX360版を指すこととさせていただきます。
  
画面左はヒューマン、画面右はエルフの画像。これらはチュートリアル画面の冒頭の際に表示されるシーンなので三人称となっている。ちなみに、銃を持ったときには一人称視点でゲームは進み、KATANA(日本刀?)を持ったときなどはこの三人称視点での操作となる。なお、種族としては、その他にトロル、ドワーフがいるが、これは単にグラフィックの違いだけではなく、種族差による性能面でも大きな特徴付けが行われている。例えば「ドワーフといえば頑丈」というのが一般的なファンタジーでの定義だが、それに則ってか「ドワーフに対してはヘッドショットは通用しない」という独特の解釈が行われている。種族選択には制限はないので、自分の好きな種族を選べばOK。

 

 

○世界初となる、XBOX360とWindowsVistaでのクロスプラットフォーム対戦が可能
冒頭でShadowrunには大きな特徴が二つあると書きましたが、そのもう一つは、「コンシューマ環境とWindowsでのゲーム環境の融合」となります。日本では、ゲームといえばXBOX360をはじめとするコンシューマ機で遊ぶことが一般的であり、パソコンをゲーム用端末として認識している人は以外に結構少なめですね。ただし、海外ではパソコンをゲーム用端末として認識している人は結構多いんですよね。その為、日本では「ゲームはコントローラーで操作」するのが普通ですが、海外では「ゲームはマウスとキーボードで操作」するのが一般的な発想となっているようです(レース用ハンドルコントローラやフライトシミュレータ用スティックなどの特殊デバイスは除く)。
このように異なる文化形態をもつコンシューマ環境とパソコン環境では、稀に同じタイトルのゲームが相互に移植されるケースはあっても、違うプラットフォーム同士でオンラインで一緒に遊ぶという行為がおこなわれることはつい最近までありませんでした。このケースで一番身近なのは、FinalFantasyXI(FF11)でしょうか。ほかにも何タイトルか「Windows版とコンシューマ機のクロスプラットフォーム」が実現していますし、今後もこういった流れは徐々に浸透していくものと思われますが、Shadowrunではそういった時流の逆らうことなく、XBOXLIVE経由にてXBOX360版とWindowsVista版でのオンライン対戦がサポートされています。マイクロソフト的には、今後もこのクロスプラットフォーム路線での営業展開を模索している模様で、今回のShadowrunはその先鞭をつける一手としても注目を集めていますね。
なにはともあれ「他に類を見ない世界観」と「コンシューマ環境とパソコン環境の融合」。この二つがShadowrunの大きな特徴となりますね。残念ながら、HP管理人はWindowsVista環境を持っていないので、両者の比較してのレビューは行えません。個人的には、この違いに触れてみたいところなのですが、無い袖は触れませんので、今回のレビューはXBOX360版に限定したものとさせていただくことになります。

 

 

○そもそも「TRPG版Shadowrun」って、何?
前述のとおりShadowrunの出自はTRPGとなります。TPRGとは「テーブルトーク・ロールプレイングゲーム」の略称となります。
日本でRPGといえば、ドラクエを代表とする一人用のコンピュータゲームという認識が強くなりますが、海外ではコンピュータ向けRPGとTRPGでは完全に別のジャンルとして扱われているのが一般的なようです。というよりもは「海外で単にRPGといったらTRPGのこと」「日本ではTRPGという遊び方が浸透していないので、RPGは単にコンピュータ用ゲームとして認識されている」といったほうが正しいのかもしれませんね。では、TRPGとはそもそも何かといいますと、コンピュータを使わないRPGゲームとなります。もっともこのあたりの話は、今回のレビューとは直接的には関係の無い部分となりますので、ここでは省略させてもらいますが、小話程度でまとめたもの当サイトの「HP管理人的 XBOX360コラム」にてちょっと語ってみようかなと考えていますので、興味のある方は後日そちらをご覧ください。
さて、TRPG版Shadowrunですが、FASAコーポレーションが1989年にリリースした作品となります。TRPG自体が規定のルールに沿って遊ぶゲームであり、そのルール自体も版数を重ねることによりバランス調整・システムの変化が発生します。このあたりはオンラインゲームの拡張パッチみたいなものですね。現在は版権自体がFASAコーポレーションから別の会社に移りつつも、第4版までリリースされています。その世界観はかなり特殊で、冒頭で記述したとおり「科学技術と魔法が同居するという、他に類を見ない世界観」を持っています。近未来とファンタジーの世界の融合という、誰もが考えつつも実際にやろうとすると「これって魔法だから」という陳腐な説明で何でもありの世界に成り下がってしまい、蓋を開けたら噴飯物な代物に成り下がってしまう可能性の高いキワモノ的な世界を、非常に緻密な世界観設定を行うことでゲームとして成り立たせていることで有名とのことです。本来は海外作品ですので英語版にてリリースが行われていますが、第2版および第4版が日本語版としてリリースされているとのことです。その為、英語をものともしないヘビーなTRPGユーザのみならず、多くのTRPGファンの間ではShadowrunの知名度はそこそこあるのではないでしょうか。残念ながら、個人的に現役のTRPGユーザが回りに居ないため、このあたりは推測になってしまうのですが(^^;
ちなみに「Shadowrun」という言葉自体にもきちんと意味合いはあるようです。「Shadowrun」とは、非合法もしくは合法的とは言い切れないようグレーゾーンに該当するような活動全般を意味するとのことです。ちなみに、TRPG版Shadowrunではこの世界で前述の活動に携わるものをShadowrunnerと呼ぶ設定になっているようですが、この辺りまでくるとXBOX360版とはあまり関係の無い話になってきますね。
  
画面は魔法要素(マジック)のチュートリアルシーン。画面左の白く光っている部分が目的地となるが、その前には鉄格子が。通常のFPSであれば回り道を探したり(可能であれば)鉄格子を爆破したりする場面だが、魔法有りのShadowrunの世界では、近距離ワープ(テレポート)を使うことにより、一瞬にして移動が可能となる。突破基準は単純に距離のみであり、その間に何があろうがテレポートは可能。つまり、遮蔽物の陰に隠れる敵の直ぐ後ろにワープすることもできるし、ジャンプで高いところに飛び移ろうとする際に、ちょっと距離が届かない場合などにも使える。つまり使い方はプレイヤーの発想力次第。この発想力を対戦にて、そのまま生かせるのがShadowrunの大きな魅力の一つだろう。

 

 

○海外制作のローカライズ作品。もちろん、ローカライズはしっかりされています
開発はFASA studioが担当。Mech WarriorやCrimson Skiesの開発を担当していることで有名なところですね。なお、FASA studioはマイクロソフトのファーストパーティとなりますので、当然販売元はマイクロソフトとなります。そして、マイクロソフトが販売を担当した海外開発ソフトの日本語へのローカライズはピカイチであり、そのクオリティは1ゲームファンとして非常に高く評価しています。
もちろん、今回のShadowrunもその例外ではなく、ゲーム内のテキストやメニューなどの文字部分に関してはもちろんのこと、主要な音声もすべて日本語化が行われています。その高いローカライズ品質は、もはや最初から日本語版として開発したのでは?と思えるほどの高いクオリティを維持しています。その為、英語が苦手な方でも、何の違和感も無く遊ぶことが可能になっていますね。ただ、ロード時間中の説明文には一部英文が残っている部分がありますが、これは演出上あえて残しているのかもしれません。
ただし、実際に遊んでみると画面構成の配色が少々気になりますね。これはローカライズの問題ではないのですが、例えばメニュー画面などは、背景色と文字色のコントラストが余り無い為、アルファベットに比べると複雑なフォントを利用する日本語環境においては、文字の認識などはあまりよくは無い印象をもちましたね。日本語化自体には何の不満も無く、むしろ「日本語版というなら、これぐらいの仕事をしてよ」的な、一種模範的なレベルでのクオリティなのですが、できれば文字色などにも手を入れて「日本語環境でもしっかりと見やすい」ローカライズを目指して欲しいな、という印象を少しもちました。もっとも、文字色の変更といった部分まで手を入れると、ゲーム自体の雰囲気をぶち壊してしまう可能性もあるので、これは簡単な問題ではないな、ということは十分に理解はしているつもりです。

 

 

○グラフィックは、一言で言えば「普通」。ゲームシステムは意外と硬派な印象。
XBOX360も発売後一年半を経て、開発側もかなりの技術蓄積が出来てきたようでグラフィックの美麗さは日に日に進化していく傾向がありますね。そんな中で発売されたShadowrunですが、グラフィックに関して言えば、一言で言うと「普通」という印象が強いですね。
特段ダメな部分を感じる訳ではないのですが、かといって実際に遊んでいてググッっとくるような印象を受ける訳でもなく「全般的に良く出来ているんだけど、かといってなんとなく可もなく不可もなくといったゲームだな」「なんか、ちょっと古臭い印象をうけるかな」という感覚が個人的に「普通」という評価につながるのだと思います。その為「ゲームはグラフィックが命」という方にとっては、Shadowrunは少々物足りない印象を受けるのではないかな、と感じています。
また、FSPとしてのゲームシステムとしては以外に硬派的な印象を受けましたね。傍目にはキワモノ設定のゲームですので、ゲームシステムも常識の範疇を超える、悪く言えばチャランポランな作りをしているのかな?という危惧も合ったのですが、蓋を開けてみたら想像以上にしっかりとした内容となっていました。ゲームをスタートした時点では基本的に殆どの武器やマジックを所持しておらず、ゲームがスタートするたびに所持金で購入するシステムを取っています。最初は所持金が少なく殆ど武器や魔法を買うことが出来ないのですが、同じMAPで連戦することにより所持金がドンドン増えますので対戦数を見越しての武装購入といった戦略性も要求されますね。
その他、物理エンジンにHAVOKを採用していること辺りからも、基本的な部分はしっかりと作ろうという意図が見え隠れしますね。
さて、Shadowrunで実際に遊んでみた印象としては、照準の概念がしっかりしているのが印象的でした。例えば、移動中の射撃はしっかりと命中率が落ちますし、連射可能武器で連射を行えば銃の反動で照準が上向きになりつつ更に命中精度も下がるといった具合になっています。これにしゃがみ打ちでは精度が上がるという仕組みを組み合わせていることにより、命中精度のコントロールも可能になっています。ちなみに、コンシューマ機向けのFPSの場合、操作は全てコントローラーでやるのが普通ですし、それ自体には何の違和感も感じることは無いのですが、実際に遊んでみるとコントローラーのアナログスティックでは照準が合わせ難いのは、ある意味仕方の無い部分だとおもっています。これは慣れが解決してくれるケースでもありますしね。ただし、爽快感をメインに押し出すゲームの場合、照準のアシスト機能をつけるケースがあります。これにより、細かい照準作業を行わなくても、ざっくりとした操作だけでしっかり照準が合うので、細かいことを気にせずにパワープレイを楽しむことが可能となります。しかしながら、Shadowrunではそういったサポートシステムも無いようですので、結果的にみて単純な弾丸バラ撒きタイプのFPSとは一味違った味付けとなっており、敵を倒すには「自分の腕が頼り」というシステム構成となっていますね。
反面、それ以外の部分においては、およそ既存のFPSとはかけ離れたシステムが採用されています。まぁ、魔法の世界の概念が導入されていますので、なんでもありといえばそれまでなのですが、実際にそれを目にすると、流石にかなりの衝撃がありますね。例えば「短距離ワープで障害物や壁がすり抜けられる」「壁の向こうにいる敵が見える」「空中を滑空できる」といったように、今までの常識を覆すようなシステムが採用されています。これにより「障害物に隠れて敵を待ち伏せる」といった類のFPSの定番である戦術がそもそも成り立たなくなります。また、参加しているキャラクタが戦闘不能になったとしても戦場への再参加機能が無い為(制約はつくがマジックで再生することは可能)戦闘自体も非常に戦略的でかつスピーディに展開するケースが多い印象を受けました。こちらは賛否両論あるシステムかもしれませんが、個人的には斬新で面白いなという印象のほうが強かったですね。
「硬派と奇抜の組み合わせ」というのもShadowrunの大きな魅力の一つといえるでしょう。
  
画面はチュートリアル中のもの。左の画面が連射系の銃を撃つ前。左が打ち終わった後。左の画面では的の左側に照準が丸い小さな円で表示されているが、この円は着弾範囲になる。この状態で連射を続けると次第に上のほうに照準がせり上がり、かつ着弾範囲も広くなっていく。その為、連射系武器を利用する際も、刻んでの連射を行わないと命中精度が下がる仕組みになっている。これらは遊んでいて気が付くというものではなく、チュートリアル中にて音声によって教官らしき人からの説明が入る仕組み。その為、チュートリアルを全て完全にマスターすれば、過不足無くShadowrunの世界を堪能できると言っても過言ではないし、逆に言えばチュートリアルを全てマスターしなければShadowrunの面白さを堪能することは出来ないともいえる。

 

 

○ストーリーモードが無いオフラインは、チュートリアルと対BOT戦のみとなる
今でこそMMORPGの流行により、オンライン専門タイトルは一般的になりつつありますが、FPSなどのジャンルでは、オンライン対戦に特化したコンシューマタイトルはまだまだそんなに多くは無いのが実情でしょう。せいぜいが「ソロ用は(長い短いは別にして)ストーリーモードで、やりこみはオンラインで」というスタイルが一般的なのではないでしょうかね。
そういった時流の中にあって、Shadowrunにはストーリーモードが実装されていません。一応チュートリアルモードにはナレーションがついたりしますので、無理に言えばこれがストーリーモードといってもよいのかもしれませんが、個人的にはそういった印象は受けませんでしたね。では、オンライン専用タイトルかと言えばそういう訳でもなく、このチュートリアルや対BOT戦といったモードはオフラインモードとなります。ちなみにオフラインの対BOT戦モードでも、利用できるMAPの数はそれなりに豊富にあり、チュートリアル自体もかなりのボリュームがあります。その為、オフラインでもそれなりに遊ぶことは可能ですが、「オフラインは操作習熟の為だけに存在する」といっても過言ではないバランス取りに為っていると感じました。つまりShadowrunは「オンライン特化型FPS」という括りになると言えるでしょう。
では、ストーリーモードがないというのは、一本のゲームソフトして見た場合はどうなの?という懸念も生まれるのが当然とおもいますが、そもそも「近未来と魔法の融合」という、過去に例を見ない設定である関係もあり、一般的なFPSに慣れているユーザであっても、Shadowrunに関してはその常識だけでは全く通用しないという現実が立ちはだかります。Shadowrun独特のシステムを理解するためにも、事前にチュートリアルをすべてクリアすることは、楽しくオンラインで遊ぶためにはある意味必須な行為だといえるでしょう。そして、オンラインで遊べない時にも対BOT戦モードがありますので、結果的にはオフラインの部分だけでもそれなりのボリュームがあり、十分に遊ぶことが出来ますね。考えようによっては「ストーリーモードが無いが故に、そちらお腹一杯にならない」というのは、オンライン対戦への導入としてはアリな選択なのかもしれませんね。Shadowrunにてオンライン対戦を推奨することは、マイクロソフトが提案するXBOXLIVEを利用したクロスプラットフォーム戦略にもマッチしますしね。
もちろん、それでもストーリーモードが無いというのは、いわゆる「オフライン専用で遊ぶ人」にとっては、大きなハンデになるのは間違いないでしょう。正直なところ、Shadowrunに関しては、ゲーム自体の面白さは折り紙つきですが、それでも「オンライン環境を持たない人」には「ゲームの全てをしゃぶり尽くす」という観点に立つと、やはりオススメすることは出来ません。ただし、オンライン環境はあるけれど、ゴールドライセンスはもっていないよ、という人は少々状況が違ってきます。
周知の事実ではありますが、XboxLiveではオンライン対戦に関しては、有料会員となるゴールドメンバーシップのみが対応となり、無料で取得できるシルバーメンバーシップではオンライン対戦を行うことはできません(独自課金を行っているFF11やPSUなどの一部タイトルを除く)。その為、ゴールドメンバーシップではない方がShadowrunで遊ぶ場合、当然オンラインでの対戦を行うことはできませんので、結果的にゲームの面白さの大半を体験することができないことになります。しかしながら、既存のシルバーライセンスユーザ向けの対処として、パッケージには48時間のゴールドライセンス用のチケットがついてきますので、既にシルバーライセンスのアカウントを持っている方は、この48時間チケットでオンライン対戦の感じをつかんでいただくことが出来ますね。48時間というと短い気がしなくもないですが、オンライン対戦の雰囲気を味わうには必要十分な時間かと思います。
また、これを機にXboxLiveのアカウントを新規で取得した場合は、無条件に最初の一ヶ月間はゴールドメンバーシップとしての登録となります。ちなみにその後課金を行わなければ無料のシルバーメンバーシップに自動移行となりますので、実質的に一ヶ月間は無料でオンライン対戦を行うことが可能となります。この「新規アカウントは一ヶ月間ゴールドライセンス扱い」というのは、特段Shadowrun向けの対処という訳ではないのですが、それでも一ヶ月無料体験が可能なのはうれしい配慮だといえますね。なお、これはあくまでも新規にXboxLiveのアカウントを取得したときのみ限定となりますので注意が必要ですね。
上記のように、ゴールドライセンスを持っていない人についても、何かしらの方法にてオンラインでゲームを楽しむ為の方法が用意されていますので「ゴールドライセンスじゃないから」という理由だけでShadowrunで遊ぶことを躊躇ってしまうのは、ちょっと勿体無いなという印象を受けます。
   
判りにくくて恐縮だが、画面左はメニュー画面。このとおり、メニューにはストーリーモードが無い。別に隠しモードという事ではなく、本当に無い。オフラインはこの画面で選ばれているトレーニング(実質的なチュートリアルモードであり、あえて言えばこれがストーリーモードと言えなくも・・・・うーん、いえない気がする)と対BOT戦のみとなる。左はMAPロード中の画面。定番のヒント表示などがあり、少々長めのロード時間に配慮した構成となっている。

 

 

○近未来と魔法の世界の融合が織り成す、多彩な戦略が楽しいオンライン対戦
さて、オフラインのメインを占めるチュートリアルで基本操作を学び、対BOT戦で多彩な操作に習熟したら、いよいよオンラインに殴り込みを掛けてみましょう。単にオンライン対戦といっても、いろいろなジャンルが存在しますが、Shadowrunは基本的に「殲滅戦」「旗取り」「旗防衛」という定番中の定番である3つのゲームモードが選べるものの、それらは全て「チーム制の対戦」となります。チーム制オンライン対戦の場合、チーム全体での連携と戦略性が非常に重要となります。その為、バトルロイヤル形式のような「自分以外は、全て敵」的な乱戦モードなどに比べると、しっかりとしたコミュニケーションが重要に為る場合もあり、結果的にバトルロイヤル形式のものよりもは若干ですが敷居は高めとなる印象をもっています。ちなみに、ゲーム内でいきなり対戦を選ぼうとすると「チュートリアルを先にどうぞ」的なメッセージが出るぐらい、オフラインを利用しての操作の習熟が要求されるのがShadowrunの特徴の一つとなりますね。まぁ操作や概念が特殊ですので、こういったメッセージが表示されるのは、一種当然のことかもしれませんね。
さて、実際にオンラインで遊んでみると感じるのですが、やはり対人戦闘はエキサイティングで面白いですね。HP管理人は、もともとFPS系はかなり苦手で下手っぴというレベルであり、オンライン対戦時に対戦終了後にで表示されるスコア表では、概ね一番下が定位置になってしまう場合も多いのですが、「相手は人間である」という感覚が、勝てば嬉しく負ければ悔しいという感情をより強く引き出してくれます。究極的に言ってしまえば「Shadowrunはオンラインでもオフラインでも基本はチーム戦」となるので、実のところ遊んでみる身にとっては、オンラインとオフラインではゲームプレイ自体にそれほど違いを感じることは少なかったですね。ただ、それでもそういった心理状況においての戦いとなる分、対BOT戦よりもは格段に面白さがありますね。
まぁ「オンでもオフでも、やっていることは同じ」と言ってしまう時点で、リスト最下位が低位置なのもなんとなく判るなぁという気が自分でも微妙にしているのですがね(^^;

 

 

○良いことばかりじゃレビューにならない
1.XBOX360にもマウスを・・・と言いたくなる操作形態の違い。
前述のとおり、コンシューマ機とパソコンでは、ゲームに対する操作のアプローチ方法が大きく違います。
パソコン版のFPSゲームをキーボード&マウス操作で遊ぶという経験した事の無い人には、いくら言葉を尽くしてみたところで理解しえない話だとは重々理解していますが、それでもあえて言わせていただきますと「FPSに関しては、絶対的にキーボード&マウスのほうが有利」だと強く強く感じています。特に視界のチェックの速さと照準の正確な操作というFPSにおける重大要素においては、コントローラのアナログスティックでの操作とマウスの操作では雲泥の差が開くと感じています。これが弾丸ばら撒きタイプのFPSの場合、精密射撃の必要性が薄れるのですが、前述のとおりShadowrunは適切な射撃を行ったほうがメリットが高いバランスのため、照準性能が高いほうが圧倒的に有利なシステムとなっています。一応、開発元のFASA側ではこの問題を認めつつも「スキルの発動などにおけるキー操作においてはコントローラのボタン操作のほうが有利」ということで、トータルではコントローラー操作のXBOX360版とキーボード&マウス操作のVista版では、極端な違いは生まれないとしているようですが、果たして本当にそうなのか?という疑念をぬぐいきれません。その確認という一点においてVista版でも遊んでみたいな、という思いがあるぐらい「操作形態による違い」を懸念しています。
通常のXBOX360同士で遊ぶFPSであれば「同じ土俵で遊ぶ」訳ですので、コントローラーオンリーの操作でなんら問題ないのですが、Vistaとのクロスプラットフォーム第一弾となるShadowrunでは、操作形態の違いによるハンデキャップをなくす為、XBOX360でもキーボード&マウスでの操作をサポートして欲しかったですね。XBOX360自体はキーボードに対応しているのですから(Shadowrunで使えるという話ではなく、XBOX360そのものがUSBキーボードを利用して文字入力など行えるという話)、あとはマウスドライバを入れてやれば良いだけなのですけどね。今後も後発タイトルにてXBOXLIVEでのクロスプラットフォーム展開を考えているのなら、XBOX360でのマウス操作は今後是非実装して欲しい要望となりますね。


2.ShadowrunのベースはTRPG。だからこそストーリーモードが欲しかった。
ShadowrunはTRPG版というしっかりとした世界観が確立されています。過去にはコンシューマ機向けにRPG風ゲームもリリースされているのですから、そんなに長いものではなくてかまわないのでXBOX360版でもしっかりとしたストーリーモードを実装して欲しかったですね。更に理想を言えば、ユーザレベルでシナリオの作成と配信ができたりとか、XBOXLIVE経由でGM役を決めてTRPGライクな遊び方が出来る、などといった幅の広い遊び方も出来れば、更に面白い遊び方ができるのではないかな?という気がしています。もっとも、ユーザレベルでのシナリオ配信のレベルまでは今回のバージョンで望む内容ではないと思いますので、それは(もし出るのであれば)次回作に期待したいと思いますね。
それはそれとして、前述のとおり、Shadowrunにストーリーモード自体が存在しないのはひょっとしたらオンラインへの導入方法としての論法なのかもしれませんし、もしそうであればそれはそれでアリな選択だとは思います。ただ、それでも個人的にはストーリーモードをきちんと実装して欲しかったですね。もし可能であれば、今後の有料配信でもかまわないので、是非実装して欲しいところですね。


3.マッチングの出来の悪さには大いに不満が残る

前述のとおり、Shadowrun自体はオンライン対戦に特化したタイトルとなりますが、残念ながらその基本的な部分がかなり弱い印象を受けます。オンライン対戦を始めようとしてゲーム検索を始めるのですが、残念ながらこの部分が非常に出来が悪く、下手をすると何時までたっても対戦相手が見つからないという場合が結構ありました。残念ながら原因は不明のままと為ってしまいましたが、他のタイトルではこのような問題は起きたことがないので、単純にShadowrunの仕様的な部分が大きな要因となっているものと思われます。そもそも検索条件を殆ど自分で選択することが出来ない為、検索結果が上手く出ないような状況の場合、事実上ユーザ側では何も出来ることがなく、延々と検索結果が出るのを待つしかありません。オンライン対戦に特化したタイトルで手軽にオンラインで遊べないというのは、一種致命的な問題であると言わざろう得ません。この点に関しては、今後のパッチなどで抜本的な解決を希望したいところです。
 
左の画面は極ありふれた画面となるが、よく見ると画面の中にはよくありがちな小型MAPが存在していない。つまり自分の視覚外(横や後ろなど)の部分を見るためには、アナログスティックで見回すしかないが、Vista版ではこれをマウス操作が行うことができ、結果的にその速度は劇的な違いが発生する。もちろん、照準の正確性は言うに及ばず。XBOX360とVistaとのクロスプラットフォームタイトルを出すのであれば、まず操作性の統一か、違う操作形態でも、ほぼ同一の結果が出るような仕組みを考慮する必要があるかと。
右の画面はオンラインでのセッション検索の待ち画面。上手くいけば1分も掛からずに対戦が可能となるが、下手をすると延々とこの画面とにらめっこをするハメになる場合もある。検索条件を殆ど自分で変えられない為、オンラインで遊べるかどうかは正に運任せの状況と為っている。せめて「満室のセッションも表示だけはされる」「接続に見合わない対戦相手の存在を確認できる」といった「相手はいるんだけど、ゲームをするには好ましくない状況」というものが目視で見れるようになるとだいぶ印象も異なるのだが、残念ながら現状では延々と上記の画面で待たされるだけとなっている。これの状況は精神的にも時間的にも非常にキツイ。

 

 

○総括
「剣と魔法の世界」が大好きなHP管理人にとって「近未来の世界観と魔法の世界の融合」という特異な設定に注目していたShadowrunですが、実際に遊んでみるまでは、これほど面白いゲームだとは思いませんでしたね。近未来型FPSでは絶対にありえない短距離ワープや障害物の陰に隠れている敵の探知といった、如何にも魔法的なギミックがしっかりと練りこまれており、その結果今までのFPSでは想像もしなかったような多彩な戦略を駆使することが可能になっているゲームに仕上がっています。チーム制オンライン対戦に特化しているゲームですので、正直なところFPS初心者やオンライン経験のない方、オンライン対戦は好きだけど他のプレイヤーと緻密なコミュニケーションをとるのがあまり好きではない人にとっては、その点において微妙に敷居が高く感じられるケースもあるとは思いますが、これを契機にどーんとオンラインの世界に飛び込んでみると、また違った世界が目の前に広がる可能性も高いと思います。ただし、残念ながら前述のとおりオンライン時のマッチングにおいては、あまり快適とはいえない場合も多く、この点だけは割り引いて考える必要がありそうですね。結果的には、当サイトにおけるダメ出しは通常2つまでなのですが、残念ながらShadowrunは3つという結果になってしまいました。もっとも、最初の操作形態に関しては、極めて個人的な考えに依存したものですし、2番目のストーリーモードが無い点に関しても「オンライン特化型」というゲームの方向性を考えれば極妥当なものといえなくも無いので、この二つに関しては、ダメだしレベルだとは言い切れない部分もあります。よって実質的なダメ出しは、最後の一つだけと言ってしまってもよいのかもしれませんね。
なお、現状ではどちらかといえばVistaとのクロスプラットフォームという部分で注目されている要素が強めのShadowrunではありますが、単にゲームとして評価した場合、(ダメ出しをかけた分を除いては)高い評価ができる内容に仕上がっていると思いますね。また、販売価格も通常の基準となる\6,800(税抜)よりも安めとなる\5,800(税抜)となっているのも好印象ですね。
また、今回のレビューでは「Windows版公式サイト」へのリンクも張ってあります。基本的にXBOX360版とVista版はゲームの内容は一緒のはずと思われるので、Vista版の公式ページでもいろいろと役にたつ情報もあるとおもいますが、その中でも是非一度試して欲しいのは「ゲームガイド」にあるプレイスタイル診断ですね。実は個人的には「エルフで遊ぶのに魅力を感じるな」という印象をもっていたのですが、その後この診断をやってみたところ、診断結果は見事?にエルフとなりました。設問自体は「これって、なんかゲームと関係あんの?」的なものもありましたが、出てきた結果は一緒だったので、思わずちょっと苦笑いが出てしまいましたね。
なにはともあれ、このように一風変わったFPSゲームとなるShadowrunですが、FPSが好きな方はもちろんのこと、かなりのFPSフリークで既存のFPSに刺激を感じなくなってしまった人や、近未来と魔法の融合という世界観に興味のある人にとってもオススメできるゲームとなりますね。